「わたし、馬と話ができるのよ…」あのこはそういった。村の遠くでサイレンがなり、高い空に、きれいな鳥みたいな飛行機が、いくつもいくつも町へむかって飛ぶのが見えた。町が空襲にあったのは山あいの村からあのこが消えた夜のことだった。日本がいくさに負けた年の疎開地での少年と少女を描いた永遠の名作「あのこ」など、児童文学の第一人者が魂を込めた「あの戦争と少年少女たち」の物語。抒情的なファンタジーから、おとなが語る戦争の真実、そして幻想的な童話まで-子どもにもおとなにも読んでほしい感動の名作十六篇を一冊に編集した、オリジナル文庫。
「BOOKデータベース」より