歌枕

吉屋信子 著

[目次]

  • 標題
  • 街なみの露店をかこむ人だかり默りし顏々たゞ灯に對ふ / 7p
  • 心ときめくこともやかなと出で來しが獨步きはすぐ倦きにけり / 15p
  • ふかぶかと靑澄む空に群れ飛べる鳥影小さし秋は來にけり / 26p
  • ある部分のある人達の困ることはある部分のある人達の困ることでない / 36p
  • 人つどひさゞめく聲につゝまれていよいよ我ぞさびしかりける / 45p
  • 君を見てびやうのやなき薰るごとき胸さわぎをばおぼえそめにき / 46p
  • ふるさとの山に向ひて言ふことなしふるさとの山はありがたきかな / 57p
  • この國をたゞ賴みて在り經れば憤ることのなしと言はなくに / 64p
  • わが父と母とより享けしこの性の我が心を戲れしめす / 82p
  • 庭隅の小さに壕にわがいのち托すと眺め淚こぼるゝ / 100p
  • 試みにまたわが前に運命の投げし憂ひに心おのゝく / 107p
  • わが母の吾を生ましけむうらわかきかなしき力おもはざらめや / 116p
  • わが戀は胸にちひさき智惠ひとつありてまどひて敗れんとする / 122p
  • 君を思ふ時一すぢ暗きなげきありいましめて我ひとには言はず / 134p
  • 三味線のふつつり切れた三の絲ひかでしまひし日のあぢきなさ / 141p
  • 幸に人と生れて幸に君と相見つ死なんともよし / 151p
  • くれなゐのにくき唇あまりりすつき放しつゝ君をこそおもへ / 160p
  • ほのぼのと窓にほのめくあかとぎの夢ともつかぬ松風の音 / 169p
  • 豐なる人の心は今もあり遺さばのこるものにしありけり / 178p
  • 秋風に胸は吹かせじこの胸は君が情を秘めおける胸 / 188p
  • 見渡せば西も東も霞むなり君はかへらずまた春や來し / 194p
  • わが生ける寂しさをひたと思ふ時君の命にま向ひてをりき / 209p
  • 寂しめる下心さへおのづから虛しくなりて明し暮しつ / 217p
  • 道のべに火は殘りをり朝ぼらけなににすがらん人のこゝろよ / 222p
  • わがいのち寂しかれどもをみなごのこゝろの端や常紅に / 229p
  • 黑髮もこの兩乳もうつし身の人にはもはや觸れざるならむ / 236p
  • 山吹の一重は散りぬつぎて咲く八重のさかりもまた一重見む / 245p
  • 思ひつゝひとりあらむと言ふ人よ若きはたちのことばにあらず / 249p
  • 立ちならぶみ佛の像いま見ればみな苦しみに耐へしみすがた / 257p
  • すこしづつ國のみだれのとゝのふやいくさに負けてよかりしといふ / 261p

「国立国会図書館デジタルコレクション」より

この本の情報

書名 歌枕
著作者等 吉屋 信子
書名ヨミ ウタマクラ
出版元 矢貴書店
刊行年月 1948
ページ数 267p
大きさ 18cm
NCID BA32384992
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全国書誌番号
48003653
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言語 日本語
出版国 日本
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