本書の目的は、中世と近世における文書の作成と管理という特定課題の比較を多国間で試みることである。国内では本書のような試みは存在しない。本書の編成の意図は以下の通りである。まず、アーカイブズ学の出所概念に基づいて、出所別に文書管理や作成文書を比較検討する部を設けた。それが第1部から第3部である。第1部「統治組織」では、中央政府と地方行政組織が対象である。第2部「村落」では、村のほかに家や宗族も考察の対象となる。第3部「商人と都市」では、普遍的に存在する商人と存在形態の差異が著しい都市を取り上げた。次に、第4部「訴訟文書と相続文書」は、文書類型論である。最後に、第5部「媒体とリテラシー」は、アーカイブズ研究の前提的領域の一部である。
「BOOKデータベース」より