宗教改革とは「ルターの宗教改革」にほかならないとして、従来ルターを中心に据えて語られがちだった宗教改革に対し、広く同時代の社会的・文化的文脈のなかに置きなおすことによって、宗教改革の歴史像は大きく変貌した。さまざまに存在した改革運動の流れ、民衆のキリスト教信仰の実態、改革理念の伝播のしかた、運動に対する社会のさまざまな領域の多様な応答、そして改革の衝撃によって宗教、社会、国家の何が変わり何が変わらなかったのか。宗教改革の「脱神話化」をはかる近年の歴史研究を概観する。
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