アレクサンドリア四重奏  1(ジュスティーヌ)

ロレンス・ダレル 著 ; 高松雄一 訳

このエーゲ海の孤島に、ぼくはぼくたちの心を引き裂いたあの都会から逃れてきた。ぼくをメリッサに会わせ、そしてジュスティーヌに会わせたあの都会-ぼくがメリッサを見出したとき、彼女はアレクサンドリアの淋しい海岸に、性の翼を破られて、溺れかかった鳥のように打ち上げられていた。彼女の明るいやさしい眼差しはぼくを幸せにした。それなのに、やがて出会ったジュスティーヌの仄暗くかげる凝視に、ぼくは抗うことができなかった。メリッサとジュスティーヌの夫を不幸にすることがわかっていても。ジュスティーヌがある日こう言ったのを思い出す。「わたしたちはお互いを斧の代りに使って、本当に愛している人たちを切り倒してしまうんだわ」しかし、ぼくはいま、あの埃にまみれた夏の午後から遠く離れたいまとなって、やっと理解した。裁きを受けるべきはぼくたちではない、あの都会なのだと-。

「BOOKデータベース」より

この本の情報

書名 アレクサンドリア四重奏
著作者等 Durrell, Lawrence
高松 雄一
ダレル ロレンス
書名ヨミ アレクサンドリア シジュウソウ
書名別名 The Alexandria quartet
巻冊次 1(ジュスティーヌ)
出版元 河出書房新社
刊行年月 2007.3
ページ数 339p
大きさ 20cm
ISBN 978-4-309-62301-6
NCID BA81604257
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全国書誌番号
21209745
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言語 日本語
原文言語 英語
出版国 日本
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