現在、われわれが知りうる歴史というのは、史料から復元されたものであり、かつ史料からしか復元されえないものです。現代に生きるわれわれは、織田信長の肉声を聞くことも、関ケ原の戦いを目撃することもできません。すべては、残された史料をもとに、歴史家たちによって紡ぎ出された「歴史」なのです。ですから、固定された正しい歴史などというものはどこにも存在しません。歴史とは、新しい史料と新しい解釈によって、この一秒の間にも書き替えられ、更新されていくべきものなのです。-本書では、「一級史料」を題材に、歴史家がどのように史料を読み、歴史を描き出していくのか探っていきます。そのうえで、教科書や歴史書の記述を鵜呑みにしない、自分なりの「歴史感覚」の身につけ方を学んでいきます。
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