本書は、情報処理的な観点から心と社会の接点を研究する"社会的認知"というアプローチが、社会心理学のなかにどのように組み込まれ、どのような成果を上げているのかを解説した書である。取り上げた研究領域は、個人内の心理的諸問題から個人間ないしは集団間の諸問題を扱う領域、臨床的・応用的諸問題を扱う領域、伸経心理学・文化心理学・進化心理学などにまで及んでおり、そのなかで蓄積された知見を紹介するとともに、最新の論争についても焦点をあてている。さらに、このアプローチが前提としているであろう人間観や社会観に関しても浮き彫りにしようとする。心理学、特に社会心理学を学ぶ学生・院生・研究者にとってたいへん示唆に富んだ書である。
「BOOKデータベース」より