タカハシは、単身NYで暮らす中年料理人。人生に疲れ果てて首を吊ったものの、人間の言葉を話すネズミたちに助けられる。そのネズミたちが彼に告げたのは、衝撃の事実だった。世界のあちこちで正体不明の「憂鬱の砂嵐」が吹き荒れ、ネズミも人間も次々と自殺しているというのだ。このままでは、みな死に絶えてしまう!最愛の娘がビルから飛び降りる幻を見たタカハシは、人類を救う決死の旅に出る。目指すは、世界一自殺率の低い国メキシコだ。かの地には、鬱から身を守る四つの宝があるという。その一つは食物らしいが…。44歳。薄毛。お人好しで度胸なし。ひときわ冴えない男が、口喧しい天才老ネズミと、勇敢な大ネズミと繰り広げる珍道中。笑いと涙の展開の末、事態は予想もしない方向へ…。鬱から最も遠い国メキシコの秘密に迫る、食物と地球の歴史をめぐる「データ・ファンタジー」。TETSUYA(=ドリアン助川)が小説家・明川哲也として執筆した、渾身の長編小説。
「BOOKデータベース」より