幻想の平安文学

永井和子 著

作者名が明記される漢詩文や歌と異なり、物語は、作者とは別に設定された「語り手」が語ることが建前の、現実とは切り離された虚構的存在である。「作者」の存在そのものは直接には見えてこない。いわば物語自体が「幻想」を抱えている。また一方、老人を語り手に設定することで叙述そのものが相対化されて幻想は深まり、物語は自在性を獲得した。物語と作者、老者の語りを主題に、枕草子・源氏物語・寝覚物語を読み解いてきた著者の集大成!

「BOOKデータベース」より

[目次]

  • 1 枕草子(枕草子の跋文-「書きつく」という行為をめぐって
  • 動態としての枕草子-本文と作者と ほか)
  • 2 源氏物語(声をあげる老者たち-源氏物語をひらくもの
  • 末摘花覚え書き-異文化の体現者として ほか)
  • 3 寝覚物語(寝覚人物小考-原本・中村本の対比による
  • 宇治十帖と寝覚物語-作者と読者の問題 ほか)
  • 4 物語と作者(「鼻」を茹でる-今昔物語と芥川龍之介
  • 六条斎院物語歌合-物語と作者の関係 ほか)
  • 5 書評・紹介(鈴木一雄校注 新潮日本古典集成『狭衣物語』上・下
  • 須山名保子編著『和泉式部集(正続)用語修辞総索引』 ほか)

「BOOKデータベース」より

この本の情報

書名 幻想の平安文学
著作者等 永井 和子
書名ヨミ ゲンソウ ノ ヘイアン ブンガク
出版元 笠間書院
刊行年月 2018.1
ページ数 513p
大きさ 22cm
ISBN 978-4-305-70855-7
NCID BB25200179
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全国書誌番号
22998953
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言語 日本語
出版国 日本

掲載作品

著作名 著作者名
The nurse's song : from A charm of lullabies, op. 41, no. 5 Britten, Benjamin
「八の宮物語」としての宇治十帖 永井 和子
「問はず語り」の場としての源氏物語 : 非礼なる伝達 永井 和子
「柱」のある風景 : 源氏物語・枕草子における柱に寄る人 永井 和子
「紅梅文庫」覚え書き : 目録を中心に 永井 和子
「鼻」を茹でる : 今昔物語と芥川龍之介 永井 和子
中の君 : 非現実と現実とのあいだ 永井 和子
六条斎院物語歌合 : 物語と作者の関係 永井 和子
動態としての枕草子 : 本文と作者と 永井 和子
吉岡曠著「源氏物語の遠近法」 永井 和子
夜の寝覚 永井 和子
夜の寝覚の恋 : 女主人公は何を恋うたか 永井 和子
夜の寝覚の研究状況 : 未知の物語として 永井 和子
女主人公という選択 : 強い中の君の出発 永井 和子
宇治十帖と寝覚物語 : 作者と読者の問題 永井 和子
寝覚人物小考 : 原本・中村本の対比による 永井 和子
寝覚物語の方法と表現 : 「偏った物語」として 永井 和子
寝覚物語の時間 : 物語内部における「昔」の形成 永井 和子
小嶋菜温子編『王朝の性と身体 : 逸脱する物語』 永井 和子
小嶋菜温子著『源氏物語の性と生誕』 永井 和子
山里の女としての中の君 永井 和子
後藤祥子他編著『はじめて学ぶ日本女性文学史[古典編]』 永井 和子
心内語論 : 心情表現の深化 永井 和子
末摘花覚え書き : 異文化の体現者として 永井 和子
枕草子 : 今後への課題 永井 和子
枕草子の「終わり」の覚え書き : 日記的章段の末尾 永井 和子
枕草子の跋文 : 「書きつく」という行為をめぐって 永井 和子
永井和子著『源氏物語と老い』 永井 和子
河添房江著『源氏物語時空論』 永井 和子
浮舟 : 見られたものとしての変容 永井 和子
清少納言 : 基点としての「宮にはじめてまゐりたるころ」 永井 和子
源氏物語の「齢」覚え書き : 「過ぐる齢にそへて」の周辺 永井 和子
源氏物語の年齢意識 : 光源氏四十賀の現実性 永井 和子
源氏物語の愛と死 永井 和子
烏盆計 : 一名奇寃報又名定遠縣
物語作品と作者 : 「作者不明」についての覚え書き 永井 和子
秋山虔編『王朝語辞典』 永井 和子
秋山虔著『古典をどう読むか』 永井 和子
須山名保子編著『和泉式部集(正続)用語修辞総索引』 永井 和子
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