猫は不思議な生き物だ。猫好きにはそれがたまらない。江戸時代にも、猫をこよなく愛する人たちがいた。いきおい、さまざまな猫の怪異の物語が生まれる。奇っ怪な行動をとる猫にまつわる物語のなかから、江戸怪談における猫の怪の世界を、文学・芸能史・民俗学などの視点から選りすぐって紹介する。江戸時代の化け猫話といえば、講談で有名な鍋島の化け猫騒動があるが、いくつもの物語が伝わるなかでその原型と考えられる『肥前佐賀二尾実記』と、飼い主の美女を救う猫の話「三浦遊女薄雲が伝」の原文を現代語訳とともに掲載。そのほか猫にまつわる江戸の随筆、日本や韓国での民間伝承、芝居や映画を紹介する。祟る猫・化ける猫・助ける猫・招く猫etcと、江戸怪談猫づくしの巻。
「BOOKデータベース」より