新プラトン主義、ヘルメス思想、占星術…。ミクロコスモスとマクロコスモスの照応を信じた「魔術の知」は、自然哲学の一つの型であり、有機的生命論であった。古代、地中海という風土に生まれたこの思考様式は、中世以降、異端視され排斥され続けてきたが、ルネサンス期に蘇り、硬直・枯渇化した西欧文化に霊感を与えつつ広がった。今なお閉塞状況にある近代知にパラダイム転換を迫る大きな可能性を秘めている。本書は、迷宮におけるアリアドーネの糸となって、読者を導き、驚くばかりの明晰さで魔術・錬金術の宇宙を開示する。
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