無頼、放蕩の限りをつくし、強盗・傷害事件を起こしてパリ追放の身になり、以来、杳として消息を絶った"フランソワ・ヴィヨン"。中世最大の詩人とも、フランス文学の父ともいわれるヴィヨンが残したとされる詩作品-「形見分けの歌」三二〇行、「遺言の歌」二〇二三行の全訳。三十年以上にわたりヴィヨン探索を続けてきた西洋中世史学の泰斗が、ついにヴィヨンの足跡を捕捉。膨大な史料の考証に裏付けされた的確な訳語はもとより、固有名詞などは"中世の秋"のころの発音で表記するなど、詩作品ならではの音の響きにも目を配った労作。
「BOOKデータベース」より