通説的にアレクサンドロスの東征やヘレニズム文化とのかかわりから語られてきたガンダーラ彫刻は、実はそれらからは切り離して考えられるべきものである。ガンダーラ彫刻はいつ、何のためにつくられたのか?また、彫刻が盛んにつくられた西北インドにおける仏教とは、どのようなものだったのか?これまでの議論で十分に加味されることのなかった考古学的な情報を最大限に活用して、ガンダーラ彫刻のつくられた時代をみつめなおす。彫刻を歴史の中に位置づけることができてはじめて、仏教文化の源流における仏教の姿がみえてくる。
「BOOKデータベース」より