権力の言葉や差別の言葉によって支えられる社会システム。その言葉を撹乱し、新しい道をこじあけるのもまた、言葉である。なぜ言葉は人を傷つけるのか。その力はどこにあるのか。どうすれば言葉は社会を変えるのか。フェミニズム理論や現代思想の論客として名高いジュディス・バトラーが、本書では言葉と行為の関係に焦点をあて、憎悪発話、ポルノの取り締まり、同性愛者のカミングアウト等にまつわる、現代アメリカの政治状況に果敢に切り込む。言語の権力性を熟知しながらも、言葉への信頼を手放さず、理論によって現実の閉塞性を打ち破るスリリングで政治的な探求。
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