本書では細胞のかたちと動きを司る細胞骨格ネットワークの動態について解説する。第1章では代表的な細胞骨格であるアクチン線維と微小管の自在なる形成・解体のメカニズムについて述べ、これらの細胞骨格を人工膜に包みこんだ細胞モデルを構築する試みも紹介した。第2章では細胞骨格のより動的な側面、つまりネットワーク再編成のしくみと、その結果としての細胞運動、さらには細胞分裂期の微小管ネットワークによる染色体分配の機構を紹介する。第3章では細胞内輸送システムの典型としての神経軸索輸送と、細胞の高速運動器官としてのべん毛・繊毛運動の研究の現状について述べ、最後に、原核生物べん毛の構築と運動機構を解説した。
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