なぜ「臨床哲学」というまったく新しい学問の試みが、あたかも既成の学問を内から食い破るかのように、期せずして精神病理学と哲学に同時に生み出されていったのか。多様な「いのち」の声に耳を澄まし、そこから柔軟にphilosophierenしようとする臨床哲学は、果たして客観的な科学を超え出て未だどこにもない新しい普遍性を拓くことができるのか。木村敏・鷲田清一・野家啓一という精神病理学と哲学の巨匠にして臨床哲学の可能性をおし拡げ続ける革新者たちの刺激的な思考を中心に、気鋭の精神医学者・哲学者が臨床哲学の意味を根底から問い直す。
「BOOKデータベース」より