腎は泌尿器科学が対象とする最も重要な臓器の一つである。したがって、この臓器に関する手術も極めて重要であり、泌尿器科医が主体となって、積極的にその進歩を図るべき領域である。本編では、多くの先生方が、腎不全・腎血管性高血圧症について関心を示し、手術のコツについて寄稿している。今日、臓器移植法が成立し、本邦においても、腎、角膜以外の諸臓器の移植もようやく緒についたところである。腎移植については、何としても泌尿器科医がイニシアティブをとって推進すべき領域である。この点についても、本編において、経験豊かな先生方が、それぞれの長年の経験に基づいた貴重な記述をしている。また、本編では、泌尿器科医が固有の領域として、古くから検討してきたにもかかわらず、なお問題の多い、神経因性膀胱、膀胱尿管逆流、尿失禁、性機能障害、男性不妊症についてもとりあげられている。QOLが尊重される時代となり、いずれも泌尿器科医にとって極めて重要な、身近な問題である。
「BOOKデータベース」より