本書での研究は、まず、あらゆる強制仲裁の計画に対して労働者が伝統的に示してきた敵意にもかかわらず、労働者によって支持された人民戦線内閣が強制仲裁制度を導入した際の全状況を叙述しようとする。さらに、採用された強制仲裁制度の性格を検証し、この制度が運用されることによって生じた全問題を探求して、可能な限り、この制度がもたらした結果を評価しようとする。経済史での研究にふさわしいものとして、変化する政治的背景、世論、労働運動、および、フランスにおける労使関係の全般的枠組と強制仲裁制度との諸関係を重視する努力が払われた。地方、仲裁制度が人民戦線による経済的実験を背景として考察されたとはいえ、経済的実験を詳細に考察することは、本書の研究の範囲を超えるものとして除かれた。
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