1453年5月29日、ローマ帝位を連綿とうけついできた最後の皇帝コンスタンティノスは、コンスタンティノープルの街頭に戦死し、ビザンツ帝国はオスマン・トルコの軍門に降った。この出来事ほど、同時代の人びとにも、後世の人びとにも深い印象を与えた出来事は少ない。「征服王」スルタン・メフメトがかれの勝利の光景を見わたしたとき、東方はアレクサンドロス大王にたいする復讐をなしとげたかに見えた。キリスト教徒は帝国終焉の哀歌を聴くとき、心をうずかせた。それはまさに歴史の審判が逆転したかのような一瞬であった。本書は、歴史の決定的瞬間にいたる前史とそれ以後を、瀕死のビザンツ帝国と勃興するスルタン国家から、征服された人びとの運命にいたるまで描いている。
「BOOKデータベース」より