本書で試みられたのは、ミュージアムのたどってきた歴史を見つめ直し、そこにある問題点を明らかにすることで、次の時代のミュージアムのあり方を問い直すことだった。そのあり方には二つの選択肢がある。すでに価値の定まった「至宝」を人びとが拝みに来る神殿としての「テンプル」を目指すのか、あるいは人びとが集って未知なる物に出会い、そこから議論が始まっていく場所としての「フォーラム」を目指すのか。そしていまミュージアムは、ますますフォーラムとしての性格を色濃く帯びるようになってきている。
「BOOKデータベース」より