高機能広汎性発達障害と破瓜型統合失調症との鑑別は予想以上に困難である。成人の医療現場では、長年にわたり統合失調症の診断の元に、薬物・精神療法がなされ、本人も家族も暗黙のうちに統合失調症患者としての人生や家族生活を送ってきた高機能広汎性発達障害者に出会うこともある。本書では、近代西欧社会の文化や価値観の影響を受けた心理学・精神病理学の概念を再考し、一般者を含む人間の「こころの構造」の起源に立ち戻る視点から、高機能広汎性発達障害と統合失調症の異同や合併を、事例を基に論じる。
「BOOKデータベース」より