「部隊を抜ける」サモンジの突然の発言にレベッカは大きな声をあげた。レベッカの上官であるユージン・サモンジはライラ共和国惑星エニウェア駐屯部隊のナンバー2と目される人物である。まだ若いのに窓際の席でお茶をのむのが趣味という少々変わった人物だ。そのサモンジのもとに敵国のスパイが接触をしてきた。ある情報を提供する代わりに、エニウェイから脱出するのに協力してほしいという。本来なら成立しえない取引。だがサモンジは部隊を抜け出してもその要求に応じるといいだしたのだ。とまどうレベッカ。とぼけた発言を繰り返すサモンジ。不敵な笑みを浮かべる女スパイ・ジャンヌ-それぞれの思惑が交錯する中、逃走劇は始まった。
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