ニューヨークの町医者の家に生まれ、医学を志したトマス青年。彼の前には、1930年代の生物学や免疫学の成果をふまえた、あたらしい医学の可能性が洋々と広がっていた。死の病が、新開発の抗生物質で完治する。インターン時代、この革命的なできごとを目のあたりにし、彼はさまざまな研究に没頭する。だが「患者あっての医師」という態度は崩れない。それは、往診に駆けまわる父と、看護婦だった母の姿から学んだのだ-。臨床の現場と病理学の研究室を軽やかに行き来した著者が、生命と病気をめぐる興味ぶかいエピソードをまじえながら、自らの歩みを振り返る。「いちばん若い科学」である西洋医学の20世紀史。
「BOOKデータベース」より