薄明のビザンチンへと移ろいゆく古代ギリシア-ゆたかで輝かしい肉体、異教的な官能性をたたえたローマ軍の若き親衛隊隊長セバスチャンは、邪教のキリスト教徒として月桂樹の幹に縛しめられ、その美しい肉に無数の矢をのぶかく射込まれ、息たえてゆく…。西暦3世紀以来の聖人伝説を下敷に、世起末のもっとも官能的な詩人ダンヌンツィオが書き下した本戯曲は、ドビュッシーの音楽、レオン・バクストの美術をえて、ロシアバレエ団のプリマ、イダ・ルビンシュタインが主役を演じたベル・エポックの記念碑的な作品である。
「BOOKデータベース」より