経済学は暮らしを豊かにしてくれる学問であり、政策立案の案内役をする科学であると、われわれは信じている。そして経済的進歩は好ましい生活を約束すると思いこんでいる。この危険な幻想によって、われわれの判断力は曇り、文明は危機に陥った。貪欲な産業活動と科学技術の暴走が、地球規模の環境破壊を引き起こしている。なによりもまず、慣習的経済学の神話性を明らかにして、それを生活と政策の指導原理の座から引きずりおろさねばならない。そうすることができたなら、その次にわれわれは、永続しうる文明を築くための、厄介ではあるが遥かにやりがいのある仕事に取り組むことができるだろう。
「BOOKデータベース」より