活字印刷術はどのような前提条件のもとに生まれたのか?それまでに達成されたさまざまな技術革新だけでなく、文字使用や商取引慣行の進展、紙の普及などがなければ、マインツの工房での偉業もありえなかった。しかし当時の書物には目次や出版者の名もなく頁付けもない。読者に便利な情報一覧や現在の書物のような体裁はその後の技術の改良とともに整えられて来たのである。こうした新しい産業に従事した誇りたかき印刷人や書籍商たちはどのような人びとで、どのように仕事をしたのだろうか。そして著者や読者たちとの関係は?書物をめぐって生きた人びとの姿を鮮やかに描く。
「BOOKデータベース」より