美的感性と社会的感性

水野邦彦 著

人間が否応なく社会的存在であることは明らかである。それを忘れるのはアカデミズムに安居する研究者だけである。美も、人間にとっての美であるかぎり、そこに社会的性格が映し出されるはずである。だが残念なことに、これまでの日本の美学研究にはそのような意識が稀薄であることが多かった。したがって美学というものが社会的性格をおよそ削ぎ落としたかたちが展開されてきたのである。とはいえ、先にふれたように美学の研究対象となる思想家そのものが非社会的な美学思想を残したわけではない。その美学思想を研究する姿勢に社会的観点が抜け落ちていただけである。そのような社会的視点を念頭に置きつつ美学史を再度ふりかえり、社会的美学を哲学的に構想しはじめることが本書のテーマである。社会的視点を重視する以上は社会思想史にもかかわることになり、その意味では美学史と社会思想史ないし社会哲学史とを再検討する作業ともいえる。本書の目ざすところは、いわば美学と社会哲学(社会思想)との架橋である。

「BOOKデータベース」より

博士論文;博士論文

「国立国会図書館デジタルコレクション」より

[目次]

  • 第1部 カント美学(カントの哲学と美学
  • カント哲学の基本性格
  • カント倫理学の骨格
  • カント美学の成立
  • 「共通感覚」とセンスス・コムニス
  • カントの市民社会論
  • 社会的判断力の構想
  • カントの社会的感性論)
  • 第2部 美的感性論の系譜(コモン・センスの美学
  • 唯物論美学
  • ギュイヨーの社会的美学
  • アドルノにおける美と自然
  • 感性論と構想と課題)

「BOOKデータベース」より

[目次]

  • 目次
  • 序文 / p1
  • 第I部 カント美学
  • 第一章 カントの哲学と美学 / p10
  • 第一節 カント哲学の構成 / p10
  • 第二節 カント哲学研究の全般的動向 / p13
  • 第三節 カント美学研究の動向 / p16
  • 第四節『判断力批判』読解の転換 / p19
  • 第五節 美学史におけるカント / p22
  • 結び / p27
  • 第一章注 / p29
  • 第二章 カント哲学の基本性格 / p32
  • 第一節 形而上学と批判 / p32
  • 第二節 認識能力の構成 / p37
  • 第三節 近代の意識哲学 / p43
  • 結び / p45
  • 第二章注 / p47
  • 第三章 カント倫理学の骨格 / p52
  • 第一節 形式的規範 / p53
  • 第二節 超感性的なもの / p55
  • 第三節 理念という統制的原理 / p57
  • 第四節「純粋理性の事実」の心情倫理 / p59
  • 結び / p61
  • 第三章注 / p65
  • 第四章 カント美学の成立 / p68
  • 第一節 主観的普遍妥当性のよりどころ / p69
  • 第二節 心情状態 / p73
  • 第三節 普遍的伝達可能性 / p75
  • 第四節<共通感覚> / p82
  • 第五節 想定された理念 / p84
  • 第四章注 / p88
  • 第五章<共通感覚>とセンスス・コムニス / p90
  • 第一節 趣味判断のパラドックス / p91
  • 第二節 ふたつの「共通感覚」 / p93
  • 第三節《Gemeinsinn》 / p96
  • 第四節《sensus communis》 / p100
  • 第五節「無用な錯綜」? / p103
  • 第六節 社会的な<共通感覚>ヘ--結び / p105
  • 第五章注 / p108
  • 第六章 カントの市民社会論 / p111
  • 第一節「自然素質」による市民社会の要請 / p112
  • 第二節<一般意志>による法的な市民社会 / p115
  • 第三節 国家体制としての市民社会 / p116
  • 第四節「国家連合」による世界市民社会 / p119
  • 第五節 カントのリアリティ--結び / p121
  • 第六章注 / p126
  • 第七章 社会的判断力の構想 / p131
  • 第一節 センスス・コムニスの共同体指向 / p131
  • 第二節<世界市民社会>としての共同体 / p133
  • 第三節<共同体指向>ということ / p137
  • 第四節 アーレントの「政治的判断」 / p140
  • 第五節 ベイナー氏の「人道的判断」 / p142
  • 第六節《社会的判断》に向けて--結び / p147
  • 第七章注 / p149
  • 第八章 カントの社会的感性論--第I部総括 / p153
  • 第一節 カント美学の工ッセンス / p154
  • 第二節 共同体感覚 / p157
  • 第三節 世界市民社会 / p161
  • 第四節 社会的感性 / p165
  • 結び / p169
  • 第八章注 / p173
  • 第II部 美的感性論の系譜
  • 第九章 コモン・センスの美学 / p176
  • 第一節 コモン・センス / p177
  • 第二節 リードの知覚論 / p178
  • 第三節 美の知覚における主観と客観 / p182
  • 第四節 美の起源とその表われ / p185
  • 第五節 ふたつの美の相違 / p188
  • 第六節 結び / p191
  • 第九章注 / p195
  • 第一〇章 唯物論的美学 / p199
  • 第一節 美的感覚と社会的条件 / p200
  • 第二節 主観と客観との相互作用 / p204
  • 第三節 自然美か藝術美か / p208
  • 第四節 結び / p211
  • 第一〇章注 / p212
  • 第一一章 ギュイヨーの社会的美学 / p216
  • 第一節 感覚とその伝達可能性 / p217
  • 第二節 美的情緒と生への指向 / p222
  • 第三節 共感的情緒 / p226
  • 第四節 結び / p230
  • 第一一章注 / p233
  • 第一二章 アドルノにおける美と自然 / p237
  • 第一節 自然と啓蒙 / p237
  • 第二節 自然と非同一性 / p239
  • 第三節 自然美と藝術美 / p241
  • 第四節 美と非同一性 / p242
  • 第五節 ユートピアの不在性 / p243
  • 第六節 限定的否定とユートピア / p244
  • 第一二章注 / p246
  • 終章 感性論の構想と課題--綜括にかえて / p247
  • 第一節 感性の暫定的定義 / p247
  • 第二節 感性の形成 / p249
  • 第三節 音楽による実例 / p251
  • 第四節 感性と理性 / p254
  • 第五節 感性の社会性 / p255
  • 第六節 結び / p257
  • 終章注 / p261
  • 引照文献 / p262
  • 初出一覧 / p274

「国立国会図書館デジタルコレクション」より

この本の情報

書名 美的感性と社会的感性
著作者等 水野 邦彦
書名ヨミ ビテキ カンセイ ト シャカイテキ カンセイ
出版元 晃洋書房
刊行年月 1996.4
ページ数 240p
大きさ 22cm
ISBN 4771008396
NCID BN14323014
※クリックでCiNii Booksを表示
全国書誌番号
96055501
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言語 日本語
出版国 日本
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